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July 2016

2016.07.21

人類はかってないほどの富と力を持っている。

人類はかってないほどの富と力を持っている。
しかし不幸である。なぜならそれがあまねく行き渡っていないからだ。
多くの人々が自らが幸せでないと考えている。
経済的に下位の人々はもちろん、上位1%に属する人々すら、まだまだ足りないといって嘆いている。

国富論・資本論・雇用・利子および貨幣の一般理論が書かれた時代とは異なり、絶対的な富はもう十分にある。すでに2011年に世界の一人当たりのGDPは1万ドルを超えている。(World Economic Outlook Database April 2016/UN, World Population Prospects: The 2015 Revision)


国民一人当たりのGDPが1万ドルを超えた国はキャッチアップが完了したと言われる。
世界全体でもキャッチアップは終了しているのだ。それだけの富を毎年生み出している。
各地域でばらつきが大きいからまだ足りないという人もいるだろうが、それは国別の一人当たりGDPでも同じで、それでも1万ドルは一つの目安とされているのだから、世界平均で1万ドルを超えていることはやはりキャッチアップは終了しているといっていい。

ではなぜ、経済的な不満が充満し武装闘争が頻発するのか。冷戦終結後21世紀になっても収まるどころかますますひどくなり、生存が食糧不足ではなく武装闘争によって脅かされてきている。

富を増やすことが優先される時代が長く続いた。資本主義はいうにおよばず、社会主義国においても生産を伸ばすことが最優先だった。今もそうだ。しかし、先進諸国では今その成長が非常に困難な状態だ。新興国にしてもキャッチアップ時の急成長期が終わると、成長率は鈍化し世界経済の状況に大きく左右されることになる。

経済成長は1%対99%の対立を簡単に防ぐことができた。なぜなら、みんな昨日より豊かになれたからだ。しかし成長が鈍ると当然権力を持つ層はその取り分を優先的にとるから下位経済弱者から順に困窮していくことになる。
経済強者が意図するか否かにかかわらず、これは必然的に発生する。
なぜなら、経済強者には弱者は直接見えず、また直接的に搾取しているわけではないからだ。心は痛まないし、成長することこそ正しいと考える人々だから手段を尽くして成長=金儲けをしていく。
過去においてはそれでも労働力がなくなると生産力できなかったので、労働者が再生産できるだけの資源を投入した。しかし

科学技術の向上により、人間でなければできない仕事は減っている。まず単純な力仕事、次に熟練労働、高度技能が動力と機械によって置き換えられた。今後は運転手、介護士、調理士、接客、看護師、医師、教師、兵士、経営判断、最終的には政治家の機能も機械(IT)で代替可能になる。

そのような社会では果たして経済強者は経済弱者を必要とするのだろうか。
自分たちが強者であることを自覚できるだけの存在としてしか必要性がなくなるのではないだろうか。消費者としての価値はのこるが、一品生産が機械化できるならば、大量生産する必要はなく、経済強者とその周辺だけの需要で十分ではないか。成長は金額で計るのだから、別に物を生産する必要はないし、数をこなす必要もない。現在の経済とは異なるが、成長は続けられるだろう。だが、結局その世界でも経済強者は不満の塊だろう。
なぜなら足るを知らないからだ。そしてそれは自壊の道。

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